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低体温症から命を守る!兆候・対策4つのポイント

今回は、山登りやウインタースポーツでよく耳にする

低体温症

についてのお話です。
あなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

でも、実際の低体温症がどんなもので、なってしまったらどうなるのか?またその対策はあるのか?については知らない方も多いと思います。

なのでこの記事では、低体温症の兆候や症状についてのお話と、対策についてのお話をします!

疲労凍死

凍死

低体温症による症状は、最悪の場合死に至ります。よく凍死というワードは聞きますが、山登りにおける凍死のほとんどは、正式には疲労凍死と呼ばれるものです。

よく冬の寒い日に、体が震えることってありますよね?あれは、低体温症のラインと言われる34度を体が下回らないように、防御反応として体が筋肉を震わせてくれているのです。

しかし、山登りなどで体が疲れていて、34度を下回った場合、筋肉を震わせる気力もなくなってしまうことがあります。こうなると震えにより体温をあげることができません。体温が上げられないと、このまま凍死に至ってしまいます。

疲労により筋肉を震わせることができず、凍死してしまうことから疲労凍死と呼ばれているのです。

じゃあどうしろって言うんだ!というお話ですが、兆候に気付き、疲労凍死しないようにするのが一番です。ならないようにするには疲労凍死のプロセスを知っておくことが大切になります。

まずは疲労凍死のプロセスを見ていきましょう。

疲労凍死の兆候

疲労凍死

兆候①強い疲労・記憶力の低下

最初の兆候としては、強い疲労感が体を襲います。それにより記憶力が低下したり、注意力が散漫になります。歩くことに必死で、周囲に対する興味関心が薄れた状態です。この状態になったら第一歩だと思ってください(そんな冷静でいられないかもしれませんが・・・笑)

兆候②体が震える

兆候①の次に現れるのが、体の震えです。先ほども話した通り体の防御反応なので、自然に震えは出ます。単純に冬の寒い日に震えるのもこの反応と似たようなものですが、兆候①も組み合わさっているのが疲労凍死のサインなので、普段のものとは違うということを覚えておいてください。

兆候③体温低下

ここまで来ると本当に危険です。34度以下になってしまうと兆候②の震えが止まります。体が熱を作り出すことができません。

防御反応である自然な震えを起こすことすらできない状態ですから、筋肉自体が動かなくなってきます。なので体温低下もありますが、最悪の場合立っていることもできなくなってしまうでしょう。

兆候④意識がなくなる

ここは兆候と言うよりはもう本当にやばい状態です。兆候とは言っていますがほとんど疲労凍死に近い状態だと思ってください。このプロセスまで行き、救助が間に合わなかったりすると疲労凍死してしまいます。

 

このように、強い疲労感〜意識低下まで、4段階の兆候がありますが、少しでも早い段階で疲労凍死の兆候に気づくことが大切です。

ただ、そうは言っても①の段階は疲れていれば誰にでもあるので難しいですよね(笑)ということで、ここでのポイントは兆候②「体の震え」です。この段階ですでにヤバイ、と思ってください。

ここを越えてしまうと立っていられなくなる可能性もあるので、動き続けている、登り続けているのに体の震えが止まらなかったらヤバイ、と覚えておきましょう。

では、次に疲労凍死を防ぐための対策、体が震えてきてしまった場合の対策などを見ていきます。

疲労凍死の対策

疲労凍死

対策①体を濡らさない

ここは、下準備段階だと思ってください。低体温症はとにかく体温低下させなければ回避できます。なので体を濡らさないことはものすごく大切です。

雨や雪が降っているなら、必ずレインウェアを着用し、まずは体を濡らさない。そして、寒い時ですから暖かいジャケットも着用しましょう。

と、ここまではすぐにイメージできると思いますが、実は体を濡らす原因は他にもあります。

そう、です。

外がいくら寒いとはいえ、ジャケットやレインウェアを着た状態で山登り等運動をしていれば、体が温まってきて汗をかきます。この汗が服に吸収されてしまうと、服が濡れた状態になり、冷たくなってしまいます。

そうならないために大切なのがベースレイヤー、つまり下着や肌着と言われる服の素材です。ベースレイヤーの素材は吸湿速乾性のあるものがベスト。身近なところでいえばユニクロのエアリズムはこの吸湿速乾性に優れています。

寒い季節はヒートテック!となるのも分かりますが、ヒートテックは普段寒い時に着るもので、汗はかかない前提ですので、汗をかきそうな場合ヒートテックを着ていると汗を吸収して冷たくなってしまうので注意です。

吸湿速乾素材の下着を着た上に登山ウェアを着て、雨が降ればレインウェア風が出てこればウインドブレーカー等のジャケットを着るこれだけでもしっかりやれば疲労凍死は防げますので、しっかりやっていきましょう。

対策②風に当たらない

風に当たらないことがなぜ大切なのか?ウインドブレーカーを着ていればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、実は、風に当たるのも結構危険なんです。

簡単に言うと

風速が1m/sの風を受けると体感温度が1℃下がる

からです。なので風速が10m/sだと体感温度は10度下がります。
登山の最中に風に当たるのは仕方のないことでもありますが、休憩を取る時はなるべく風に当たらないように休憩できる場所を探す、などをして対策してください。

ここでも大切になってくるのが服装による調整ですね(^^)さらに厚着をしたり、しっかり風を防げるジャケットを着る、というのも対策として十分です。

対策③マイペースで歩く

疲労凍死、と言うぐらいですから、「疲労」はとても大きなポイントです。登山計画など立てているかもしれませんが、それに遅れているからと言って無理はせず、余計な疲労をためないようにマイペースに登りましょう。

また、ここで注意したいのが集団で登っている場合です。周囲のペースに無理に合わせようとしてしまわないことが大切。無理に合わせれば余計な疲労が溜まってしまいます。

リーダーに相談するなどして、早めに対策してください。

対策④身体をあたためる

一番考えられる対策かもしれませんが、身体をあたためる。単純ですがとても大切な対策です。
震えたりすれば体温は上がりますが、筋肉を動かしているので疲労も溜まります。ここでも服装による調節が最も簡単かもしれません。

また、食べ物を食べる、というのも有効な対策の1つになります。食べ物を食べていると汗をかいた経験があるかもしれませんが、あれは体に入った食べ物を消化するために胃や腸の筋肉が動き、体温が上がることが原因です。

なので可能であれば温かいカップラーメンを食べたりすると、ダブルで体温をあげることもできますね。

 

このように、対策は簡単に言えば

・レインウェアなどの防寒着で調整する
・風を防ぐ
・無理をしない
・身体を温める、食べる

という感じです。基本的にはこれらの対策を取り、登山中も普段の体温(=最適体温)を保つように気をつけましょう!

というわけで、これからだんだん暖かくなってきますが、まだまだ山は寒い季節です。地上との温度差も大きいので体調管理には十分に注意し、楽しい登山をしてくださいね!(^^)

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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ABOUT US
神坂涼介株式会社リンクコンサル代表取締役
登山の趣味歴11年。大学では火山学、地質学を専攻。YouTubeでは登山や自然に関する防災知識等を発信。一人でも多くの人が山に興味を持って欲しいという願いから、会員制コミュニティTOMOTOTOでは定期的に登山&勉強会を開催している。愛知県で4店舗を構えるカルチャーセンターでは、平均年齢61歳の高齢者向けに「山歩き入門」という名称で座学、体験登山を実施している。